糖尿病網膜症

当院の糖尿病眼外来は
日本糖尿病学会の学術評議員、糖尿病眼学会の常務理事を務めた院長がレーザー治療・手術・硝子体注射を含め適切な診療を提供しています。



「内科の先生に眼科受診を勧められたけれど、目に異常はない」と感じていませんか?

糖尿病網膜症は日本における成人の失明原因の上位を占める深刻な疾患ですが、初期段階では自覚症状がほとんどありません。宝塚市の仁川眼科医院では、第19回日本糖尿病眼学会総会の会長、糖尿病学会学術評議員・糖尿病眼学会常務理事の経験を持つ院長が、糖尿病網膜症の早期発見・専門治療を行っています。

厚生労働省が2025年12月に公開した調査結果によると、糖尿病が強く疑われる人は全国で約1,100万人と推計されており、眼科受診がより重要となっています。

当外来の特徴

  • 日本糖尿病学会の学術評議員、糖尿病眼学会の常務理事を務めた院長による診療
  • レーザー光凝固、硝子体手術、硝子体注射を含めた糖尿病の眼合併症に対する総合的な診療
  • 黄斑の中心に近い困難な状況でもレーザー治療を行える豊富な経験と適切な判断

よくある疑問と誤解

「糖尿病の検査は内科で十分では?」「症状がないから眼科は不要?」といった疑問をお持ちの糖尿病患者様は少なくありません。

しかし、これらは糖尿病と合併症に対する重大な誤解です。

糖尿病患者様によくある誤解:

  • 内科で糖尿病をみてもらっているから眼科は不要
  • 糖尿病はあるが、よく見えているので眼の合併症は起きていない
  • 血糖コントロールが良好なら眼科を受診しなくとも良い
  • 眼底検査で異常なしと言われたらもう安心
  • レーザー治療をすると視力が下がる
  • 症状が出てから治療すれば十分

これらの誤解が、糖尿病網膜症の進行と失明リスクを高める主要因となっています。糖尿病網膜症は症状が現れた時には既に進行していることが多く、眼科での定期的な専門検査が不可欠です。

糖尿病と眼合併症

「糖尿病で目の病気になるって本当?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

糖尿病は全身の血管を侵す疾患であり、眼においても多様な合併症を引き起こします。

糖尿病による眼合併症には、糖尿病網膜症をはじめ、白内障、血管新生緑内障、視神経症、外眼筋麻痺、角膜症、屈折異常、虹彩炎など多岐にわたります。これらの中でも糖尿病網膜症は、成人における失明原因の常に上位を占める深刻な疾患です。

糖尿病による白内障は、通常の加齢性白内障と異なり若年発症し進行が早いという特徴があります。血管新生緑内障は糖尿病網膜症が進行した際に起こる緑内障で、急激な眼圧上昇により激しい痛みと急速な視力低下を引き起こします。外眼筋麻痺では物が二重に見える複視という症状が現れ、角膜症では角膜表面の傷などが生じます。

当院では糖尿病眼学会理事の経験を持つ院長が、これらの糖尿病眼合併症に対して専門的な診断・治療を提供しています。

糖尿病網膜症とは

糖尿病網膜症の概要

糖尿病網膜症は、高血糖状態が長期間続くことで網膜の血管が損傷を受け、様々な病変を生じる疾患です。

糖尿病網膜症の最大の問題は、初期段階では患者様自身が症状を感じないことです。網膜の毛細血管瘤や小さな出血などの変化が起こっても、多くの場合自覚症状がありません。しかし病気が進行すると、網膜血管の閉塞や異常な新生血管の増殖により、最終的には硝子体出血や牽引性網膜剥離を起こし、重篤な視力障害に至ります。

糖尿病網膜症による視力障害の主要因は、増殖性変化と呼ばれる硝子体出血・牽引性網膜剥離、そして黄斑浮腫です。これらの合併症により、糖尿病網膜症は先進諸国における成人の失明原因の上位を占めているのです。

病気の進行と分類

糖尿病網膜症は病気の進行度により、改変Davis分類に従って3つの段階に分類されます。各段階の特徴を理解することで、適切な治療時期を逃さずに済みます。

  • 単純糖尿病網膜症
    単純糖尿病網膜症は最も初期の段階で、毛細血管瘤、網膜点状・斑状・線状出血、硬性白斑、網膜浮腫、少数の軟性白斑が特徴的な所見です。
    高血糖状態が続くと、網膜毛細血管を形成する周皮細胞が変性・脱落し、血管壁が脆弱化します。これにより毛細血管瘤が形成され、血管壁の破綻により網膜出血が生じます。また、血液網膜関門と呼ばれるバリア機能が破綻し、血漿成分が網膜内へ漏出して網膜浮腫や硬性白斑を形成します。黄斑部に浮腫が生じると黄斑浮腫となり、視力障害の原因となります。

  • 増殖前糖尿病網膜症
    増殖前糖尿病網膜症では、血管の透過性亢進に加えて血管の閉塞が起こり、軟性白斑、静脈の異常、網膜内細小血管異常、網膜無灌流域などの所見が現れます。
    軟性白斑は網膜毛細血管の閉塞により網膜が虚血状態に陥り、神経線維が瘤状に腫大したものです。静脈異常は毛細血管閉塞による還流障害で生じ、網膜内細小血管異常は閉塞部に隣接する血管の短絡路形成を表します。蛍光眼底造影検査では広範な網膜無灌流域が確認され、この無灌流域から血管新生因子が産生されて次の増殖期への移行に繋がります。

  • 増殖糖尿病網膜症
    増殖糖尿病網膜症は最も進行した段階で、新生血管、網膜前出血、硝子体出血、線維血管増殖膜、牽引性網膜剥離が特徴的な所見です。

新生血管は網膜の内境界膜を越えて硝子体腔内に進展し、壁が脆弱なため容易に破綻して硝子体出血を引き起こします。新生血管周囲にはコラーゲンやグリア細胞からなる線維血管増殖膜が形成され、この膜の収縮により牽引性網膜剥離が生じます。牽引性網膜剥離が黄斑部に及ぶと高度の視力障害を来たし、失明に至る可能性があります。

糖尿病網膜症の治療と検査

診断に必要となる検査

糖尿病網膜症の診断には、フルオレセイン蛍光眼底造影と光干渉断層計(OCT)が欠かせません。蛍光眼底造影は腕の静脈からフルオレセインという蛍光色素を注射し、特殊な眼底カメラで撮影する検査です。この検査により網膜血管の循環動態、血液網膜関門の障害、血管異常などを詳細に観察できます。

OCTは超音波断層撮影に似た検査で、近赤外線を用いて網膜を顕微鏡レベルで観察できます。特に黄斑浮腫の診断に非常に有用で、浮腫の程度や形態を正確に評価できます。これらの検査結果をもとに、糖尿病網膜症の正確な病期診断と最適な治療方針を決定します。

糖尿病網膜症の治療法

「糖尿病網膜症の治療は怖いもの?」と心配される方もいらっしゃいますが、現在の治療法は安全性が高く効果的です。糖尿病網膜症の治療は病期に応じて異なりますが、最も重要な治療法は網膜光凝固術(レーザー治療)です。

増殖前糖尿病網膜症の段階では、蛍光眼底造影で確認された網膜無灌流域に対してレーザー光凝固を行います。虚血に陥った網膜をレーザーで凝固破壊することで血管新生因子の産生が抑制され、増殖糖尿病網膜症への進行を防げます。これは現在、増殖性変化の進行を阻止できる唯一確実な方法です。

増殖糖尿病網膜症に対しては汎網膜光凝固を行いますが、この段階での治療は黄斑浮腫の増悪などの合併症リスクが高くなります。硝子体出血や牽引性網膜剥離を生じた場合には硝子体手術が必要になります。この手術では眼内に細い器械を挿入し、出血した硝子体や増殖膜を除去して網膜を元の位置に戻します。

当院では糖尿病眼合併症の病態と治療に精通した院長が、病気の進行具合と眼の状態を適切に見極め、最適な治療法を提案いたします。

糖尿病と眼のQ&A

Q:糖尿病と診断されましたが、目に症状はありません。本当に眼科受診が必要ですか?

A:はい、症状がなくても定期的な眼科受診は絶対に必要です。糖尿病網膜症は初期段階では自覚症状がほとんどなく、症状が現れた時には既に進行していることが多いためです。早期発見・早期治療により失明を防ぐことができます。

Q:血糖コントロールが良好なら糖尿病網膜症は進行しませんか?

A:血糖コントロールは重要ですが、良好でも糖尿病網膜症は進行する可能性があります。糖尿病網膜症の進行には血糖値以外にも血圧や糖尿病の罹病期間など様々な要因が影響するため、定期的な眼科受診が欠かせません。

Q:レーザー治療後に視力が下がることはありますか?

A:レーザー治療は糖尿病網膜症の進行を防ぎ、将来の失明を予防する治療です。治療範囲が広い場合、視力や周辺視野に影響が出ることがありますが、これは視機能維持のために必要な治療です。当院では十分な説明を行い、患者様の不安軽減に務めています。視力が低下する主な原因は黄斑浮腫ですが、これに対しても適切な治療を行います。

Q:糖尿病網膜症になったら必ず失明しますか?

A:いいえ、決してそうではありません。定期的な眼科受診を行い、適切な時期に必要な治療を受けることで、高度な視力障害を来たすことは稀です。光凝固術や硝子体手術の進歩により、多くの患者様で十分な視力維持が可能となっています。

Q:どのくらいの頻度で眼科を受診すべきですか?

A:糖尿病網膜症の病期により異なりますが、単純糖尿病網膜症では6か月から1年に1回、増殖前糖尿病網膜症では3から6か月に1回、増殖糖尿病網膜症では1から3か月に1回の受診をお勧めします。当院では患者様の病期に応じて最適な受診間隔をご提案いたします。